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教科書展示/自由社版 新編新しい歴史教科書 [横浜教科書]

2009年度教科書展示を利用させていただきました。

採択に新しい歴史教科書が加わったと聞き、見させていただきました。
自由社『新編新しい歴史教科書』にはがっかりさせられました。
新指導要領に沿った内容と聞いていましたが。

1) 先ず、フォント、特にルビが小さすぎる。文庫本のそれよりも小さい。初めて見る小ささです。
視力に障害のある方、健常といわれても乱視の子どもが長時間読むと頭痛がするでしょう。
内容の良し悪し以前の問題です。予習/復習を阻害する。

2) 全体に暗い。前半は他社に比べて神話や仏像の数が多い。後半では戦争の場面が目立ちます。

3) 文化や庶民の生活に関する記述が他社の半分です。その分、戦争や政治、制度などの国の行為ばかりが目立ちます。バランスに欠けます。
幸田露伴は文明の庫で、「戦闘のことを主として記したる史を戦史といふ。戦史の上に現る…人に尊まるる人少からず。」と書いています。文明史を軽んじる者を諌めています。

4) 偏向を是正するために女性を多く記述したと聞いていましたが、各章の扉は服装と人名のみ。女性の生き生きとした姿は見えてきません。
源氏物語も背景や経歴で、文学自身の価値や特質には全く触れていず、世界中に読者を得ている魅力が伝わってきません。
明治/女性の活躍11行の内、6行は美子皇后の記述。現在の書店や図書館には一冊の著書・文集も見られない。編集者好みの女性なのかもしれないが、偏向(偏執)とはこのような公平・中立性を欠く選定をいう。

5) 5章のまとめに、「国の制度は大幅に変更させられた」とあり、日本国民が変革を望んでいなかったのように読めます。日本国憲法の公布を国を挙げて祝い、廃墟の中から新しい国を建設する気概に溢れた戦後の国政/国民の努力と苦労を否定する文章には、憤慨を覚えます。
まして、最後の「戦争に敗北した傷跡がまだ癒えない」の言葉には、戦争で兵士として傷つき、或いは空襲で家族を失い、自らも怪我をし、或いは日本軍に殺された朝鮮、中国、何より沖縄の苦悩を表現するのに不適切極まりない。
「敗北した傷」ではなく「戦争の犠牲となった傷」なら理解できます。
この一語が、この教科書の性格を端的に現しています。「敗北した傷」を癒すのは復讐、再戦であり、『諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意』する日本国憲法の精神に反します。

学習指導要領、その基本である教育基本法、その基本である日本国憲法に反する教科書は認められません。教科書展示を利用しての感想です。

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