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資本主義はなぜ自壊したのか/中谷巌 [本]

そして第二の盲点は、私の留学当時、私を圧倒したアメリカの豊かな社会を支えていたのは、実は自由な市場活動ではなく、「偉大な社会」建設を謳い、政府の役割を重視していた「新古典派総合」に基づく経済政策であったということである。私はこうした現実を見過ごして、レーガン政権以降に主流になる新自由主義こそが、昔からアメリカ流経済の中心であったかのように錯覚してしまった点である。(p41)

しかし、ブータンの唱えるGNHの思想ではそうした発想はない。
文化はそれ自体、重要なのであり、人々の幸福感と直結しているから大事なのだというのがブータンの考え方である。また、自然と調和の取れた生活をすることは、それ自体が金銭に換算できない価値があるのだから、自然を破壊することによって所得を増やす場合には慎重な判断が必要だという考え方なのである。(p133)

ところが新自由主義思想に基づく企業改革によって、そうした帰属感、連帯感を感じる場がどこにもなくなってしまったのだ。「資本主義は社会を粉々にし、人間をアトム化する」というポランニーの指摘はまさに正しかったのである。そして、その資本主義の害毒は、今や日本経済そのものにも及んでいるのだ。(p317)

だが、和地会長によれば、テルモにとって最も重要なミッションは投資家にPRして歩くことではなく、安全で優れた製品を独自に開発し、医療現場で働く人や患者が本当に喜んでくれる高品質の商品を開発し、医療現場に真の意味で貢献することにあるという。ユーザーが信頼し、心から納得する商品を作っていれば、自然に業績が上がり、業績が上がれば、逆に投資家のほうが興味を持って話を聞きに来てくれる、というのである。(p320)
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